部屋の掃除をしようか、と思い立ち、溜まった本の帯の整理をし始めると、ある漫画雑誌に連載している漫画家のサイン色紙が当たるという企画の応募券が出てきた。応募締め切りが12月31日当日消印有効のだったので、何となく葉書に鉛筆でいいかげんに殴り書き、応募券をセロテープがなかったので梱包用のビニールテープで固定し、ポストまで出しに行くことにした。
ついでにコーラでも買って飲もう、と思い、金を探すも、自室には80円しかなく、仕方なく、弟の部屋を漁るが、出てくるのは壱億円札というふざけた金のみ。つい先ほどまで起きていた親にせびるか、と画策するも、すでに寝入っていた。忍び込んで財布から抜き取ろうとしても、眠りが浅い老人のことだからすぐ目を覚まし、小言を言われることは目に見えていたので、諦めて、再び、弟の部屋を探すことにした。なぜか靴下が脱ぎ捨てられていたりする机の上から鍵を見つけ出し、鍵のかかっていた引き出しを開けても、中に入っていたのはまだ黒歴史になっていない黒歴史ノートと鉛筆2ダースだけだった。
コーラは断念し、適当に服を着て、出かける。ショートカットになるかと思い、いつもと違う道を行ってみるも、舗装されていない道や曲がりくねった道ばかりで、いつも通る道よりも時間がかかってしまった。
帰り道、なんとなく、Happy Birthday to Youを口笛で二フレーズほど吹いて、ふと、今日は母親の命日且つ弟の誕生日だったと思い出した。